「50歳からドラムを始めても、遅くないでしょうか」
大人になってから楽器を始めたいと思ったとき、年齢のことが気になる人は少なくないと思います。
覚えるのに時間がかかるかもしれない。
体が思うように動かないかもしれない。
若い頃から続けてきた人には、追いつけないかもしれない。
私も50歳でドラムを始めました。
そして今年の12月で、丸8年になります。
今も週に一度、2〜3時間ほどスタジオに入り、月に一度はバンドで音を合わせています。
8年目の今、はっきり言えることがあります。
50歳から始めても、遅くありませんでした。
50歳からでも、ドラムは始められる
ドラムは、両手と両足を別々に動かす楽器です。
頭では分かっているのに、体が思うようについてこない。ひとつできるようになったと思ったら、別のところでつまずく。
そんなことを何度も繰り返してきました。
だから、50歳から始めれば何でも簡単にできる、とは言えません。
けれど、「若くないからできない」と感じたことよりも、「練習した分だけ少しずつ変わる」と感じたことのほうが、ずっと多くありました。
昨日までできなかったことが、ある日ふっとできるようになる。
その小さな変化がうれしくて、ここまで続けてこられたのだと思います。
年齢より大切だったのは、続けられる形をつくること
大人が新しいことを始めるとき、学生の頃のように自由な時間があるわけではありません。
仕事もあります。家のこともあります。その日の体調や、家族の予定に左右されることもあります。
毎日練習できなくても、私は週に一度、スタジオへ行く時間をつくってきました。
まとまった時間が取れない週があっても、完全にやめない。思うように叩けない日があっても、次の練習へ行く。
上達の速さよりも、生活の中に無理なく続けられる場所をつくることのほうが大切でした。
50代から始める場合、若い人と同じペースを目指す必要はありません。
自分の暮らしに合うペースが見つかれば、それで十分です。
うまく叩くことだけが、目的ではなくなった
始めた頃は、できなかったことができるようになるのが、ただうれしかったのだと思います。
けれど、続けているうちに、ドラムがくれたものは演奏技術だけではなくなりました。
一緒に音を出す仲間ができました。
バンドで過ごす時間が生まれました。
知らなかった場所へ行き、見たことのない景色を見るようになりました。
ドラムを始めなければ、出会わなかった人たちがいます。生まれなかった会話があります。
50歳から始めたことが、その後の暮らしや人とのつながりを、少しずつ変えていきました。
50歳から始めて分かったこと
8年目の今、ドラムを続けてきて分かったことがあります。
自信がついてから始める必要はない
「できそうだから始める」のではなく、「やってみたいから始める」で大丈夫でした。
最初から自信があったわけではありません。できないことがあるのは、始めたばかりなら当然です。
人と比べすぎなくていい
若い頃から演奏している人や、短期間で上達する人を見ると、自分との差を感じることがあります。
けれど、その人にはその人の時間があり、私には私の時間があります。
昨日の自分より少し進めたかどうか。そのくらいの見方が、長く続けるにはちょうどよいのだと思います。
好きなことは、人とのつながりを連れてくる
一人で始めたドラムが、やがてバンドや仲間との時間につながりました。
好きなことを続けていると、技術だけでなく、人や場所との縁も少しずつ増えていきます。
始めたあとに、見える景色がある
始める前に、8年後の今を想像することはできませんでした。
先のすべてが見えてから始めるのではなく、まず一歩動いたからこそ、次の景色が見えてきたのだと思います。
これからドラムを始めたい50代の方へ
もし「ドラムをやってみたい」と思っているなら、最初から楽器をすべてそろえる必要はありません。
まずは体験レッスンを受けたり、スタジオで実際のドラムに触れたりするところからで十分です。
合うかどうかは、考えているだけでは分からないことがあります。
うまくできるかより、「もう一度叩いてみたい」と思えるかどうか。
その気持ちがあれば、始める理由として十分ではないでしょうか。
50歳からでも、遅くなかった
50歳で始めたドラムは、私の人生を急に別のものへ変えたわけではありません。
けれど、練習へ行き、仲間と音を合わせ、できなかったことが少しずつできるようになる。その積み重ねが、日々の見え方を変えてくれました。
何歳までに始めなければならない、という期限はありません。
始めたいと思ったときが、その人にとっての始めどきなのだと思います。
50歳から始めた私にも、まだ見ぬ景色が待っていました。
そして8年目の今も、その続きの途中にいます。
50歳から始めたドラムが連れてきてくれた、仲間たちとの出来事を、初めてのKindle本にまとめました。
『あの夜に見た景色は、始まりだった』は、2026年10月10日発売です。
