断捨離の時代に、増やしていい縁がある。

東京コトブキの店頭に立つ二人と楽器ケース

人間関係の断捨離、という言葉をよく耳にするようになりました。

年齢を重ねると、自然と付き合う人が変わったり、縁が少しずつ絞られていったりすることがあります。

でも今日は、その逆の話。

50歳になってから、私の人生に増えた、ひとつの縁の話です。

彼女と初めて顔を合わせたのは、私が50歳のときでした。

二人とも、私がドラムに興味を持つきっかけになったバンドのファン。

その頃、Instagramでは同じバンドが好きな人同士の交流が盛んで、私たちもコメントなどでやり取りをするようになりました。

とはいえ、二人ともそれまではSNSとはほぼ無縁だった、普通の主婦です。

ネットで知り合った人と日時を決めて待ち合わせをして、一緒にイベントへ行く。

少し前の私なら、たぶん考えもしなかったことでした。

それでも、彼女との文章のやり取りには、

「この人、なんだか私と同じ感じがする」

と思えるものがありました。

そして迎えた、はじめましての日。

彼女が目印にすると教えてくれていたマスコットをバッグにぶら下げて、向こうから歩いてくる姿を見つけたときのことを、今でも覚えています。

「この人、本当にいたんだ……」

変な感想ですよね(笑)。

でも、本当にそんな感じだったんです。

初めて会ったのに、初めて会った気がしない。

そんな不思議な感覚でした。

その日、二人でイベントへ行きました。

そして、どういう流れだったのかはもう覚えていないのですが、そのあと二人でカラオケへ。

今考えると、初対面の人と二人きりでカラオケって、結構ハードルが高くないですか?

でも、行ったんです(笑)。

もちろん選曲は、二人が大好きなバンドの曲ばかり。

そこで私は、さらに驚くことになります。

彼女が男性ボーカルの曲を、ものすごくきれいな声で歌い始めたんです。

私は心の中で、

「この人、家入レオじゃないの!?」

と叫んでいました。

初対面の日に、すでにやられていました(笑)。

あの日、カラオケで向かいに座っていた彼女とは、今ではスタジオで一緒に音を出しています。

しかも彼女が弾いているのは、かつて私が手に入れたものの、あっという間に挫折して譲ったベースです。

私が弾けなかったベースを、彼女が弾いている。

そして私は、その隣でドラムを叩いている。

初めて会った日のことを思い出すと、

「どうしてこうなったんだろうね」

と、今でもちょっと笑ってしまいます。

でも、きっと私たちの間には、最初から似たものがあったんだと思います。

好きなものへの気持ちだったり、
音楽との付き合い方だったり、
慣れないSNSで恐る恐る一歩を踏み出した感じだったり。

言葉にして確認したわけではないけれど、

「この人とは、なんだか分かり合えそう」

という感覚。

それが、私たちをつないでくれたのかもしれません。

人間関係は、たくさんあればいいとは思いません。

年齢を重ねた今だからこそ、大切にしたい距離もあります。

でも、減らすことばかり考えなくてもいい。

好きなものを追いかけている途中で、

「あ、この人。」

と思える誰かに出会うこともある。

断捨離の時代にだって、
増やしていい縁は、きっとあります。

私にとって彼女との出会いは、そんな縁のひとつです。

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